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灰色の密命 [海外翻訳]


灰色の密命(上) 1919年三部作 2 (講談社文庫)

灰色の密命(上) 1919年三部作 2 (講談社文庫)

  • 作者: ロバート・ゴダード
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/03/15
  • メディア: 文庫



灰色の密命(下) 1919年三部作 2 (講談社文庫)

灰色の密命(下) 1919年三部作 2 (講談社文庫)

  • 作者: ロバート・ゴダード
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/03/15
  • メディア: 文庫



第一次大戦中はイギリス空軍パイロットだったマックス。
その父殺害にまつわる大きな陰謀を描いた三部作のうちの第二部。

父親殺害の謎を解明しようと、陰謀の鍵を握っている、ドイツのスパイ網を牛耳るレンマーの懐にマックスは飛び込んでいく。
レンマーの指示でマックスは極秘ファイルを奪いにドイツの軍艦に侵入する。

極秘ファイルを解読しようとするマックスには別の敵も存在した。
戦後の講和会議の日本代表となった戸村伯爵とその息子だった。

◇ ◇ ◇

文句なく楽しく、はらはらしながら読んでいけます。
マックスはいいところのお坊ちゃまという設定にしたのはうまいですね。
生活費を考えなずに冒険に身を投じていられますから。

それとイギリスのスパイ小説に日本人が登場するのはかなり異例かも。

第三部の題名は「宿命の地」です。
当然ながら日本のことでしょう。
ゴダードがどんなふうに日本を描くのか。
いまから楽しみです。


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終わりなき道 [海外翻訳]


終わりなき道 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

終わりなき道 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

  • 作者: ジョン ハート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/08/05
  • メディア: 新書



主人公の刑事エリザベスは、誘拐されレイプされた少女をひとり助けたのだが、警察内外から避難を浴びていた。
犯人の黒人を射殺してしまったのだが、それが過剰だったのでは? という疑いがもたれていた。
しかし、エリザベスは事件の詳細についてかたくなに口を閉じていたので、下手をすると罪に問われる可能性があった。

そんな折、エリザベスの元同僚で、殺人の罪で服役していたエイドリアンが釈放になった。
エイドリアンが釈放されたとたん、異様な状態の女性の死体が次々と発見されていく。

エリザベスは、昔自殺しようとしていたところをエイドリアンに助けられたことがあり、彼の無実をひとり信じていた。

◇ ◇ ◇

ジョン・ハートはよく言えば情緒的、悪く言えば暗くて湿っぽいという印象だったので、敬遠していました。
まわりがおもしろいと絶賛するので、読んでみました。

暗くて湿っぽいいつもの調子は感じられず、かなりエンタメを意識して書かれたのではないでしょうか。

いろいろなことが盛りだくさんで、その分、突っ込みどころ満載でした。

よくできた作品だと思いますが、最後が「えーっ、こんなラストでいいの?」
「どこが『終わりなき道』なんだ? 終わったじゃないの」という内容だったので、少々拍子抜けしました。


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拾った女 [海外翻訳]


拾った女 (扶桑社文庫)

拾った女 (扶桑社文庫)

  • 作者: チャールズ ウィルフォード
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2016/07/02
  • メディア: 文庫



1950年代のアメリカ。

ハリーは画家で身を立てるのが夢だったが、才能がないことを自覚し、小さなレストランでコックとしてまじめに働いていた。

唯一の楽しみは仕事を終えたあとのお酒だった。
馴染みのバーにはツケがたまっているほどだった。

そんなハリーの職場にヘレンという魅力的な女がふらりとやってきた。
ヘレンは所持金をほとんど持っていなかったため、ハリーはヘレンに酒をおごってやり自分のアパートメントに泊めてやった。

ヘレンもハリーに負けず劣らずの酒飲みで、ハリーとヘレンはふたりで酒におぼれていくのだった。

◇ ◇ ◇

酒を浴びるほど飲んで、そのせいでどん底まで落ちていく男の話です。
あそこまで酒を飲んで身を崩していくというのが、やはり現代とはちがうなと思いました。
今だったら、必ずアルコール依存症の会に行くという設定が出てきますからね。

ミステリーというより純文学という気がしました。
悩んで自暴自棄になったりするのって多いですよね、純文学には。
ミステリーなら悪を退治して解決してほしいです。
だからもっと違ったタイトルにして、ミステリーではない路線でいったほうが、もっと名作として注目されるのではないでしょうか。


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傷だらけのカミーユ [海外翻訳]


傷だらけのカミーユ (文春文庫) (文春文庫 ル 6-4)

傷だらけのカミーユ (文春文庫) (文春文庫 ル 6-4)

  • 作者: ピエール・ルメートル
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/10/07
  • メディア: 文庫



あの大ヒット作『その女アレックス』に登場したカミーユ警部のその後です。

5年前に妻イレーヌを亡くしたカミーユにも春が訪れていた。
身長148センチのカミーユのどこがいいのか、美しいアンヌとカミーユは仲良く暮らしていた。

ある日、アンヌが出かけた先で強盗に出くわし、滅多滅多に傷つけられてしまう。
どうしても自分の手で犯人を追いたいカミーユは、アンヌが恋人であることを隠して捜査にあたる。
アンヌに顔を見られた強盗が病院にいるアンヌに忍び寄るのだった。

◇ ◇ ◇

カミーユ警部シリーズの三部作の完結編だと言われています。
でも、キャラのたった登場人物が出てくるミステリーは楽しいので、これで終わりにしてほしくないです。

冒頭でカミーユの部下で、やはりキャラのたった人物のお葬式の模様がでてきますが、あれ? 病気だったっけと思いました。
彼が死んでしまったのもつまらないです。
やはりカミーユ警部シリーズはもうないのでしょうか。

『悲しみのイレーヌ』と『その女アレックス』があまりにも強烈で、猟奇的だったので、それに比べると本作は地味に見えてしまいますが、充分はらはらさせてくれますし、かなり大がかりなどんでん返しがあります。

カミーユ警部ものの未訳の中編があるらしいので、ぜひ訳していただきたいものです。


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熊と踊れ [海外翻訳]


熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 作者: アンデシュ・ルースルンド
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/09/08
  • メディア: 文庫



熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 作者: アンデシュ・ルースルンド
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/09/08
  • メディア: 文庫



スウェーデンで実際にあった事件を元にしている物語です。
去年のこのミス翻訳部門の1位に輝きました。

父親が暴力をふるう家庭に育ったレオ、フェリックス、ヴィンセントの3兄弟。
ある程度の年齢になると、自分たちで会社を作り、建設工事を請け負っていたが、実は銀行強盗をしてでっかく儲けようと企んでいた。

軍人に憧れるいとこと共に、まず軍の武器庫から大量の武器を奪う。
その武器を手に4人は次々と銀行強盗を成功させる。

4人はそれまでに犯罪を犯していなかったため、警察は手かがりを得られず苦戦する。
だが、ブロンクス警部は執念深く犯人たちを研究し、彼らは兄弟であることを突き止める。

◇ ◇ ◇

実話を元に作られたというのが驚きですね。
物語の作成に協力したのはモデルになった兄弟のひとりで、実際は4人兄弟で、その人はまったく犯行に加わらなかったそうです。

この物語の読みどころは
・父親の家庭内暴力の中で育った子供たちの成長の模様
・長男としてグループをまとめようとするレオとグループ内の確執
・犯罪にのめり込んでいくレオと恋人ととの理想のずれ
・ブロンクス警部の別れた妻の鑑識係への思い
などがあげられます。

私は警察小説がやはり好きなので、犯人側の視点よりも追っかける警察の視点でもっとよみたかったです。
が、この本にしては犯人側からの視点になるのは当然なのでしょう。

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謀略の都 [海外翻訳]


謀略の都(上) 1919年三部作 1 (講談社文庫)

謀略の都(上) 1919年三部作 1 (講談社文庫)

  • 作者: ロバート・ゴダード
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/01/13
  • メディア: 文庫



謀略の都(下) 1919年三部作 1 (講談社文庫)

謀略の都(下) 1919年三部作 1 (講談社文庫)

  • 作者: ロバート・ゴダード
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/01/13
  • メディア: 文庫



久々のゴダードの新作なのではないでしょうか。
1919年の三部作の一作目。

舞台はパリ。
第一次大戦の戦後処理を巡って各国代表が集まっていた。
そんな折、英国代表団のひとりで元外交官が転落死をした。
フランス語を習っていた若い女性の家の屋根から落ちた事故死だと思われた。

故人の次男で元英国空軍パイロットのマックスは、父の死が事故死だとどうしても思えず、兄の反対を押し切って調査をはじめる。

やがて父が残した謎のリストを入手するも、次々と関係者が殺されていく。

◇ ◇ ◇

ミステリーはもしかしたら少しばかり時代が古い方がおもしろいのかも。

何もかも科学捜査とインターネットで処理できてしまう現代よりも、一昔前の設定のほうが謎が謎を呼び、わくわくできるから。

日本人も登場してミステリアスなムードをまき散らしていますし、サーカス団から抜け出したかのような身軽な謎の人物も出てきて、江戸川乱歩を呼んだときと似たわくわく感があります。

ジェフリー・アーチャーとはちがって一気に出版されるようなので、内容を忘れないうちに読めて嬉しいです。


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機は熟せり クリフトン年代記 第6部 [海外翻訳]


機は熟せり(上): クリフトン年代記 第6部 (新潮文庫)

機は熟せり(上): クリフトン年代記 第6部 (新潮文庫)

  • 作者: ジェフリー アーチャー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/12/23
  • メディア: 文庫



機は熟せり(下): クリフトン年代記 第6部 (新潮文庫)

機は熟せり(下): クリフトン年代記 第6部 (新潮文庫)

  • 作者: ジェフリー アーチャー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/12/23
  • メディア: 文庫



ハリー・クリフトンの誕生あたりからはじまるサーガも第6部となった。
ハリーも50歳くらいになっているはず。
ハリーはみごとスターリン批判の本を出版して、世界的なベストセラーとなる。

宿敵ヴァージニアも健在だが、贅沢三昧を続けてるあまり金銭的ににっちもさっちも行かなくなった。
そこでアメリカの大富豪相手に詐欺を働くことを計画する。

ハリーの息子セバスチャンは仕事では順調に地位が上がっていくが、プライベートでは悲しいことばかり。
最愛の女性サマンサはアメリカにいて手が届かず、新しい恋人ができるが、彼女はインド人で親が決めた許嫁がいる立場だった。

ジャイルズは東ドイツで知り合ったカリンが忘れられず、なんとか西側に連れて来ようとする。

◇ ◇ ◇

あいかわらずおもしろいです。
社会的な出世と恋の冒険という絶対的なテーマだからでしょうか。
そこへ悪役の横やりがはいるのですが、最後には悪役をぎゃふんと言わせるというパターン。

クリフトン家の人間はみな優秀で、その道で常にトップになります。
普通の人間にはそれは無理なので、疑似体験できるのでおもしろく感じるのでしょう。

それにしても、ハリーがいちばんキラキラした存在のように思えます。
セバスチャンやジャイルズは少々不運なような気がします。


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夏に凍える舟 [海外翻訳]


夏に凍える舟 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

夏に凍える舟 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

  • 作者: ヨハン テオリン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/03/09
  • メディア: 新書



スエーデンのエーランド島は夏がかき入れ時だ。
クロス一族はそこでホテルやキャンプ場を経営していた。

ある夏の夜、クロス一族の中で一番幼いヨーナスは、兄や従兄弟たちが映画に行っても連れていってもらえず、ひとりボートに乗っていた。

すると目の前に突然、漁船が現れ、中では人が死んでいた。
幽霊船だと思ったヨーナスは命からがら岸まで必死に逃げた。

岸に建つのはボートハウスが1軒だけ。
ヨーナスは助けを求めてドアをたたくと、そこは元船長イェルロフのボートハウスだった。

そんなイェルロフは若いときに墓堀の手伝いをしていたことがあった。
クロス一族のひとりを埋葬しようとしたとき、棺の中から音が聞こえたことがあったのを思い出す。

◇ ◇ ◇

エーランド島4部作の最後を飾るのにふさわしい作品です。

北国のスウェーデンでは夏が一番華やかな季節なんでしょうね。
そんなリゾート地で事件が勃発します。
それはイェルロフ元船長が若いときにはじまった因縁によるものです。
過去の出来事が現在に影響を及ばすという、私の大好きなパターンです

事件の模様と同時に、旧ソビエトのスターリン時代の強制収容所の話も描かれています。
この時代の粛正の嵐について何度か読んだことがありますが、人間はどこまで残酷になれるんだろうと思ってしまいます。

テオリンさんのほかの作品もぜひ読んでいこうと思いました。

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過去ある女 プレイバック [海外翻訳]


過去ある女 プレイバック (小学館文庫)

過去ある女 プレイバック (小学館文庫)

  • 作者: レイモンド チャンドラー
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2014/04/08
  • メディア: 文庫



アメリカからカナダに向かう列車の中で、妙齢の美女が困っていた。
国境を越える際の手続きで、あまり触れてほしくない事柄があるようだった。

そこへ、国境を越える手続きに慣れたふうの男が助け船を出す。
無事にカナダに着いた女は男が紹介したホテルに泊まることにする。

男は他人を食い物にして生きているようなジゴロだった。

その日の夜、ホテルのオーナーのペントハウスでパーティが催され、ふたりとも出席する。

深夜、女が目を覚ますと、部屋のソファーに昨夜の男が死んで横たわっているのに気づく。
女は逃げようとするが、ホテルのエレベーターの中でオーナーに会い、事件を打ち明けるのだった。

◇ ◇ ◇

レイモンド・チャンドラーによる映画のシナリオです。
なので、普通の小説とはちがい、脚本の形になっています。

一昔前の作品というのは、現代の作家が書いたものと比べると、細部の説明が省略されていたりするんですよね。
なので、女の過去というのもいまいちはっきりしてないところがあります。

しかし、とても雰囲気があって、往年のノワールの味を堪能できると思います。

どうして部屋に死体があったのか、というトリックの謎解きもあったのが、チャンドラーにしては意外でした。



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赤く微笑む春 [海外翻訳]


赤く微笑む春 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

赤く微笑む春 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

  • 作者: ヨハン・テオリン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/04/10
  • メディア: 単行本



エーランド島4部作を通しての主人公で、元船長のイェルロフは、高齢者ホームを一時的に出て、海沿いの自分の村でしばらく過ごすことにした。

そんなイェルロフの近所に、新しくペール・メルネルがやってきた。
彼は離婚していたが、双子の男女の子供がいた。
双子の女の子は重い病で入院していた。

ある日、ペールのところへ年老いた父から電話があり、迎えに来てくれという。
父とはずっと疎遠になっていたが、ペールは父を探しに行く。
約束の場所に父親がいなかったので、家を訪ねてみると、父は刺し傷を負って倒れていた。

すると、どこからともなく火の手があがり、まだ息のある父をペールは外に連れ出す。
中にまだ人がいそうだったので、もう一度家の中に行くが、火の勢いがあまりにも強く、そのまま外に出る。

その後、家の中で男女の遺体が見つかるが、病気でうまくしゃべれない父は、何があったか説明できないでいた。
ひたすら昔の仕事仲間の名前を繰り返すだけだった。

深刻な問題が次々とペールを悩ましていたが、近所の中年の奥さんとジョギングをすることでペールは癒されていた。

彼女はいまでもトロールとエルフの存在を信じており、ペールの娘のためにエルフに祈るのだった。

◇ ◇ ◇

けっして短いとはいえない話ですし、淡々とした調子で物語が進んでいくのですが、飽きることなく読んでいけます。

80代のイェルロフですが、肝心なところで大活躍します。

それがさりげなく自然に登場するので、うまいなーと思います。

何十年か前の過去が現代に影響して殺人が起きる、という私の好きな展開なので、とても楽しめました。


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