野良犬の運河 [海外翻訳]
ロンドン在住のウエブデザイナーのジョンは、仕事柄家に引きこもることが多かった。
そんなジョンだったが、近所で見かけるホームレスの老人が気になり出し、自分の家に老人を寝泊まりさせるようになった。
老人はジェイクという名前だとわかったが、自分のことをあまり話そうとしなかった。
偶然、老人がシャワーを浴びているときに、ジョンは老人の体を見てしまい、体中に傷跡があることを知り驚愕する。
それがきっかけだったのか、老人はジョンの家から何も告げずにいなくなった。
何ヶ月か経ったころ、アムステルダムの警察からジョンのところへ連絡がはいる。
ジェイクらしい老人の惨殺死体がみつかり、ジョンの連絡先が遺留品の中にあったからだった。
ジョンはジェイクの身元確認をするため、アムステルダムに向かった。
やはり死体はジェイクだった。
身元確認が終わったら、すぐにイギリスへ帰るように言われたジョンだったが、独自にジェイクのアムステルダムでの足取りを追うのだった。
◇ ◇ ◇
この話もナチスが絡んできます。
ナチスと言うと、ドイツやポーランドを思い出しますが、オランダでも傷跡が深く残っていることがわかりました。
やはりオランダでもユダヤ人は非常に差別され、虐待されていたようです。
それと平行して、体中にピアスをするとか、自分の体を平気で(というか好んで)傷つける人たちが出てきます。
SM愛好者とナチスの残酷性が絡み合って、物語は重く、暗い仕上がりになっています。
ストーリー展開もおもしろいし、扱っている出来事も社会性があって興味深いのに、いまいち注目されない作品なのは、やはり全体をとおして、シリアスで暗いからじゃないかと思います。
人気のあるミステリは、事件は悲惨で暗くても、おもしろいキャラがいて、おもわず笑ってしまうところがあるものです。
少し笑えるところがあると、もっと人気のでる作家だと思いますが、そういのは嫌なんでしょうね。
テレビドラマとかでもそうですが、実は暗めの
ストーリーの方が、心に響く名作、読み応え(見
応え)的に今年一番の作品なんてのが多かっ
たりするかもしれません。
と言いつつ、結構辛い話のは避けがちかも。
「現実逃避したかったのに現実以上に辛くてど
ーする?」と思っちゃってるからでしょうか。
by ミシェル・デマルケ (2015-12-21 21:12)
>ミシェルさん
ミシェルさんおおっしゃるとおりですよね。
「現実逃避したかったのに現実以上に辛くてどーする?」という気持ちもなきにしもあらずです。
あんまりばかっぽいのも嫌ですし、時と場合によるんでしょうね。
by 美月 (2015-12-22 13:30)